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【開催後レポート】「MEET THE MOBILITY – LEARNING SESSION」交通インフラの「いま」を知り、次の対話につなげる夜

【開催後レポート】「MEET THE MOBILITY – LEARNING SESSION」交通インフラの「いま」を知り、次の対話につなげる夜

2026年9月17日、THE VILLAGE OSAKAにて「MEET THE MOBILITY – LEARNING SESSION 交通インフラの『いま』を知り、次の対話につなげる夜」を開催しました。

人口減少や働き方の変化を背景に、駅や沿線、オフィス、ホテルには、これからどのような役割が求められるのでしょうか。

今回は、株式会社NANKAIの窪田真也氏と、いちご地所株式会社の司昭彦氏が登壇。スパイスファクトリー株式会社の安川廉亮がモデレーターを務め、交通インフラと不動産の現場で感じている課題や、地域・利用者のニーズに応える取り組みについてお話しいただきました。

前半では駅や建物に求められる役割の変化を、後半では具体的な取り組みと今後の共創をテーマに議論しました。当日の様子をレポートします。

Session 1 交通インフラを取り巻く環境と役割の変化

窪田氏は、人口減少やリモートワークの普及によって通勤での鉄道利用が減っていることに言及。不動産開発でも工事費や人件費が上昇し、都市部以外では投資回収が難しくなっていると話します。

一方、収支だけを理由に取り組みを止めれば、沿線人口の減少を眺めるだけになってしまうとも指摘。地域ごとに異なる課題に向き合い、具体的なアクションにつなげることの重要性を語りました。

「通過する駅」から「人が過ごす駅」へ

駅に求められるのは、電車に乗るための通過点だけでなく、人が集まり、滞在できる場所としての機能です。カフェや店舗、イベントスペースなどを通じて、駅そのものに「訪れたくなる理由」をつくっていきたいと窪田氏は話しました。

続いて司氏は、不動産を単なる「場所貸し」ではなく、街や利用者が求める機能を提供するものと捉えていると説明。鉄道会社やバス会社と連携しながら、人がとどまり、再び訪れたくなる魅力をつくることが大切だと語りました。

オフィスビルに農園。「会社に行きたくなる理由」をつくる

具体例として紹介されたのが、お台場のオフィスビルです。リモートワークの普及で退去が相次ぎ、ほぼ満室だったビルの稼働率が50%を下回ったことをきっかけに、テナントに必要な機能を整えてきました。

ラウンジの整備に加え、テナントの提案から始まったのが屋外の農園。当初20人程度を想定していた会員は、1年を超えて55人まで増え、近隣企業の人も参加するようになったそうです。収穫祭や採れた野菜を使った料理を通じ、会社の枠を越えた交流が生まれています。

中には、「野菜の育ちを見たい」と、週1回だった出社が週3回になった人も。仕事以外にも「ここへ来たい」と思える理由をつくることが、オフィスの新たな役割として紹介されました。

テナント従業員の「自分の作品を飾りたい」という声から、エントランスにはギャラリーも設置。作品の入れ替えが、利用者同士の会話のきっかけになっています。

ライフスタイルホテル「THE KNOT」では、宿泊者以外も利用できるレストランを設け、フロント前の大きなテーブルには地域の人がパソコンを広げる姿も。観光客や住民など、さまざまな人が自然に交わる場所を目指していると話しました。

Session 2 交通インフラの変革をどう実現する?

後半では、両社が進める具体的な取り組みと、今後の挑戦について話が広がりました。

難波・泉北・泉州。それぞれの地域に合ったまちづくり

窪田氏は、南海の沿線づくりの重点エリアとして「難波」「泉北」「泉州」の3つを紹介しました。

難波では、周辺地域も含めた「グレーターなんば」として街を捉え、回遊性を高めています。タクシー乗り場を歩行者空間へ変えた「なんば広場」や、ホテルとオフィスを含む再開発を紹介し、エンターテインメントと働くことが共存する場所への期待を語りました。

泉北では、泉ケ丘駅周辺の商業施設の更新や住宅整備に加え、地域アプリを活用したエリアマネジメントを実施。歩くとポイントが貯まる仕組みなど、暮らす人にとっての付加価値づくりにも取り組んでいます。

泉州では、関西空港に近い立地を生かし、りんくうエリアで官民が連携したまちづくりを検討。「暮らす」「訪れる」「働く」といった各エリアの特性を生かし、モビリティも含めて沿線全体をつないでいきたいと話しました。

「外国人共生」から「地域共生」へ

金剛駅周辺では、ネパール出身の住民が増える中、母国の食材を買えるスパイスショップとカレー店を誘致。出店者には賃料を抑える代わりに月1回のイベント開催を依頼し、住民同士が交流するきっかけをつくっています。

外国人と日本人を分けて考えることも見直し、最近は「外国人共生」から「地域共生」へと表現を変えているそうです。

日常のコミュニティが、災害時の助け合いにつながる

司氏は、いちごの経営理念「日本を世界一豊かに」を紹介。事業を続けるための収益と、日本の豊かさにつながることの両方を大切にしていると話しました。

農園での交流の根底にあるのも、災害時に助け合えるコミュニティづくりです。日常から挨拶や声かけができる関係を育てることで、もしもの時にも互いを気にかけられるように。交流を重ねる中で、テナントが自社の応接室を活動場所として提供するなど、関係にも変化が生まれていると紹介しました。

オフィスの使い方も、もっと柔軟に

内装や家具を備えた「セットアップオフィス」は、成長企業が本業に資金を使えるよう、入居・移転時の負担を抑える取り組みです。企業が成長して拡張移転し、その場所に次の企業が入居する循環を目指しています。

さらに挑戦しているのが、特定の曜日だけ利用する「曜日貸しオフィス」。普段はリモートで働き、週1回はメンバーと顔を合わせたい企業などを想定し、平日の1曜日のみ利用する場合は賃料を5分の1に設定。モニターや曜日別のロッカーを備え、顔認証で利用時間を管理します。

THE VILLAGE OSAKAも、将来、関西のスタートアップ企業が「あそこで育った」「イベントに何度も参加した」と振り返る場所にしたいという思いが語られました。

逆風の中だからこそ、一緒に挑戦する

最後に、共に取り組むパートナーへの期待についても話が及びました。

窪田氏は、人口減少などの逆風を、凧が舞い上がる力になぞらえ、社内チームを「チームカイト」と呼んでいると紹介。成功するか分からない状況も面白がり、一緒に挑戦できる企業と取り組んでいきたいと語りました。

司氏は、「ニーズやチャンスは自社の外にある」と話します。人や地域の声を聞き、行動指針である「挑戦を恐れず共に成長する」のもと、従来の考え方にとらわれず新たな取り組みを続ける姿勢を示しました。

今回紹介されたのは、駅やオフィス、ホテルを「人が集まり、つながる場所」へと変えていく実践です。地域や利用者の声に耳を傾け、既存のアセットを生かしながら、企業や地域と共に試していく。両社の事例から、これからの街や場所づくりを考えるヒントが得られるセッションとなりました。